ミトコンドリア心筋症MELASMT-TL1:m.3243A>G は難疾患
Impediments to Heart Transplantation in Adults With MELASMT-TL1:m.3243A>G Cardiomyopathy
背景
JACCは、遺伝子診断の確立で進展が著しいミトコンドリア心筋症に関する2論文を併載している。
イタリアFondazione IRCCS Policlinico San MatteoのArbustiniらは、1998〜2021年に診断・追跡調査されたMELASMT-TL1:m.3243A>G心筋症成人患者14名における心臓移植の阻害要因を分析した。
結論
心臓表現型は肥大型・concentric・非閉塞性心筋症が特徴的だが、しばしば拡張型心筋症様の表現型に進展した。14名中7名が心移植の潜在的候補者、2名が心・腎移植の候補者であり、1名は3年前から積極的移植リストにリストアップされていた。しかし、10名中実際に心移植を受けた患者はなかった。全員が糖尿病・難聴・ミオパシーを有し、10名が慢性腎臓病と進行性ミトコンドリア脳筋症を有していた。追跡中、10名が遺伝子診断5年以内に多臓器不全を伴う心不全で死亡した。
評価
併載論文では、中央値6.7年のフォローで心不全死した患者は1.3%であったとしており(https://www.jacc.org/doi/abs/10.1016/j.jacc.2022.08.716)、このコホートの重篤感との差は大きい。一次・二次医療機関における見逃しも多そうであり、心突然死で終わっている可能性もある。

