電池誤飲による子供の救急受診、過去30年で倍増:アメリカ
Pediatric Battery-Related Emergency Department Visits in the United States: 2010-2019

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Pediatrics
年月
September 2022
150
開始ページ
e2022056709

背景

電池の誤飲は危険な異物誤飲事故であり、ボタン電池の使用拡大により、そのリスクは増加している。
アメリカSafe Kids WorldwideのChandlerらは、National Electronic Injury Surveillance Systemから得られた救急外来受診データを用い、2010年から2019年にかけて、同国で発生した18歳未満の電池関連受診の疫学を調査し、過去の研究と比較した。

結論

期間中の電池関連救急受診は、70,322件と推定された(10万人あたり9.5件)。うち84.7%がボタン電池関連であった。90.0%は誤飲、5.7%は鼻腔挿入、2.5%は外耳道挿入、1.8%は口腔曝露であった。受診数は2010年から2017年にかけて有意に増加し、その後2019年にかけて非有意に減少した。受診率は5歳以下の小児で10万人あたり24.5件、6〜17歳では2.2件であった(平均年齢 3.2歳)。

評価

1990〜2009年の期間(https://doi.org/10.1542/peds.2011-0012)と比して、電池関連の受診は倍増していた。ただし、受診のピークは2017年であり、電池誤飲に関する最近の啓発・予防キャンペーンが奏功している可能性がある(日本でも誤飲防止パッケージなどが導入されている)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)