MYH7関連拡張型心筋症の自然歴を記載
Natural History of MYH7-Related Dilated Cardiomyopathy
背景
MYH7変異は、拡張型心筋症(DCM)の1〜5%を占めるミオシン関連遺伝子疾患である。
スペインUniversidad Francisco de VitoriaのGarcia-Paviaら(European Genetic Cardiomyopathies Initiative Investigators)は、世界29施設からの患者147名(47.6%女性、平均35.6歳)の臨床データを統合して同疾患の自然歴を記載している。
結論
初回評価時には72.1%がDCM(LVEF:34.5%)であった。追跡期間中央値4.5年で、当初表現型陰性であった保因者の23.7%がDCMを発症した。40歳・60歳までの表現型発現率は各46%・88%、18歳未満で診断された患者は16%であった。DCM患者の36%がLV noncompaction基準を満たした。追跡中に、28名で左室逆リモデリングが発生した。患者の5年有害事象発生率は11.6%で、末期心不全(ESHF)による死亡が4.6%、要心移植が4.6%であった。重大心室性不整脈発生率は低かった。ESHF・重大心室性不整脈発生率は、LMNA関連DCMより有意に低く、TTN切断バリアントによるDCMと同等であった。
評価
MYH7変異は、HCMでは多いがDCMでは少なく、この報告は現在まで最大のケースシリーズである。小児期発症が比較的少ない、LVNCが多い、不整脈が少ない、という三大特徴を記した。