培養不要の新技術で感染病原体を2時間半で検出する
A culture-free biphasic approach for sensitive and rapid detection of pathogens in dried whole-blood matrix
背景
血流感染症の診断におけるゴールドスタンダードは血液培養であるが、検出に長時間を要する(陰性化まで5日)ため、タイムリーで適切な抗菌薬投与の妨げとなっている。
アメリカUniversity of IllinoisのGanguliらは、全血を乾燥・熱溶解させ、乾燥血液マトリックスの微小流体ネットワークのポロシティを向上させ、核酸抽出なしのDNA増幅を可能とする二相性(biphasic)アプローチと名付けられたプロトコルと、これによる臨床的検査精度を報告した。
結論
新しいプラットフォームは、0.8-1 mLの血液量で、MRSA・MSSA・グラム陰性大腸菌・Candida albicans等の病原体を、検出限界1.2 CFUで検出可能であった。この検査は63の臨床サンプルで検証され、感度・特異度とも100%であった。また、所要時間はサンプル処理と二相性LAMP反応を合わせて2.5時間以内であった。
評価
血液培養検査は初期管理の指針としては利用困難で、結果が明らかになるまでの広域抗菌薬使用は耐性菌の原因ともなる。本論文が提案した新アプローチは高速で原因菌の特定を可能にし、感染症治療の次なるブレイクスルーとして期待される。