大腸がん内視鏡検診はがんリスクを軽減するが、がん死亡リスクには差なし:NordICC試験
Effect of Colonoscopy Screening on Risks of Colorectal Cancer and Related Death
背景
大腸内視鏡検診は、便潜血検査やS状結腸鏡検査などと並び有効な大腸がん検診方法とされているが、ランダム化比較試験による直接的なエビデンスは不足していた。
ノルウェーUniversity of OsloのBretthauerらは、ヨーロッパ4ヵ国の住民登録から抽出された55〜64歳の男女を、大腸内視鏡検査による1回の検診に招待する招待群、または通常ケア群へ1:2で割り付けるランダム化比較試験NordICCを実施した(n=84,585)。
結論
招待群に割り付けられた28,220名のうち、11,843名(42.0%)が検診を受けた。15名がポリープ切除後に大出血を起こしたが、検診に関連した30日死亡はなかった。中央値10年のフォローアップ期間中に、招待群で259件、通常ケア群で622件の大腸がん診断があった。10年大腸がん発症リスクは招待群で0.98%、通常ケア群1.20%であり(リスク比 0.82)、大腸がん死亡リスクはそれぞれ0.28%、0.31%であった(0.90)。大腸がんを1件予防するために必要な招待数(Number needed to invite)は455人であった。全原因死亡リスクは、招待群で11.03%、通常ケア群で11.04%であった。
評価
USPSTFなどは大腸内視鏡検査による検診を推奨していたが、RCTエビデンスが欠けていた。初の大規模RCTは、内視鏡検診への招待は10年大腸がんリスクを18%抑制できるが、がん死亡リスクには影響がない、とした。NEJMEditorialは、この結果をboth surprising and disappointingとし、様々な限界・留保点を議論している。決定検証が必要であろう。