脳底動脈閉塞でも血管内治療が有効:ATTENTION試験
Trial of Endovascular Treatment of Acute Basilar-Artery Occlusion
背景
前方循環閉塞に対しては血管内治療(EVT)の有効性が確立しているが、後方循環に関して行われたBEST試験、BASICS試験は決定的と言える結論を引き出せていなかった。
中国First Affiliated Hospital of the University of Science and Technology of China (USTC)のTaoらは、発症から推定12時間以内の脳底動脈閉塞患者を、血管内治療または対照治療へと2:1で割り付ける多施設ランダム化比較試験ATTENTIONを実施した(n=340)。
結論
90日時点での機能的良好予後(修正ランキンスケール0から3)率は、血管内治療群46%、対照群23%であった(調整率比 2.06)。臨床・画像上の二次アウトカムについても一次アウトカムと同様の傾向であった。症候性脳出血は血管内治療群でのみ発生した(5%)。90日死亡率は血管内治療群で37%、対照群で55%であった(リスク比 0.66)。血管内治療群の14%で手技・操作に関連する合併症が発生し、1名が死亡した。
評価
BEST試験、BASICS試験では、血管内治療でアウトカム良好な傾向があったものの、有意差を示すには至っていなかったが、このATTENTION試験は、後方循環閉塞でも血管内治療を支持するエビデンスを打ち立てた。発症後6〜24時間の患者を対象とした、同じく中国のBAOCHE試験も併載されているが、こちらでも血管内治療の有効性が示されている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2207576)。