消化器外科医は「女性には向かない職業」ではない:日本
Comparison of short term surgical outcomes of male and female gastrointestinal surgeons in Japan: retrospective cohort study
背景
日本における女性医師の割合はOECD加盟27ヵ国の中で最も低く、特に外科医の割合は5.9%にすぎない。こうしたプレゼンスの欠如が女性医師のスキル形成を阻害するのではないか、という懸念に答える研究が発表された。
日本Japan Baptist Hospital(日本バプテスト病院)のOkoshiらは、手術データベースNational Clinical Databaseおよび日本消化器外科学会のデータを用い、男女の外科医による幽門側胃切除術(n=184,238)・胃全摘術(n=83,487)・直腸低位前方切除術(n=107,721)の死亡率・合併症を比較分析した。
結論
女性外科医は、男性よりも登録後年数が短く、腹腔鏡手術が少なく、より高リスクの患者を手術していた。手術死亡率、死亡率+術後合併症、胃切除術・胃全摘術における膵液漏、低位前方切除術における縫合不全に有意な男女差はなかった。
評価
女性外科医による手術は全体の5%にすぎず、よりリスクの高い患者を担当することが多かったが、手術成績に男女の差は認められなかった。女性医師のスキル・キャリア支援の充実に向けた心強いデータといえる。