頭胸部を挙上した心肺蘇生は生存率の上昇と関連
Head and thorax elevation during cardiopulmonary resuscitation using circulatory adjuncts is associated with improved survival

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Resuscitation
年月
October 2022
179
開始ページ
9

背景

頭部側を挙上した状態で心肺蘇生(CPR)を行うことで、頭蓋内圧を下げ、頭部からの灌流を促進するというhead-up CPRのコンセプトが初めて示されたのは2015年の動物実験研究であり、最近ではヒトの心停止患者においても実証研究が現れている。
アメリカHennepin HealthcareのMooreらは、(1)能動的な圧迫ー解除CPRまたは機械式CPR、(2)インピーダンス閾値弁装置(ITD)、頭胸部の自動挙上からなる新コンセプトCPR(ACE-CPR)を受けた院外心停止患者(n=227)を、ランダム化比較試験から得られた従来型CPRを受けた院外心停止患者(n=5,196)と傾向スコアマッチングし、自己心拍再開・神経学的良好生存について比較した。

結論

緊急通報から11分未満に開始された場合、ACE-CPRは初期リズムにかかわらず、良好な生存退院と関連した(オッズ比 3.28)。18分未満のケースでも同様であった(1.88)。自己心拍再開・神経学的良好生存は、ACE-CPRと従来CPRで有意差がなかったものの、通報からCPR開始までの時間が短いほど、ACE-CPRが有利な傾向が認められた。

評価

2019年にFDAが認可した頭部挙上デバイスを用いた頭部挙上CPRは、迅速に使用された場合、院外心停止の生存アウトカムを改善する可能性が示された。ランダム化比較試験による検証が期待される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)