血糖降下薬4種の微小血管・CVDへのインパクトにGRADEづけは困難
Glycemia Reduction in Type 2 Diabetes−Microvascular and Cardiovascular Outcomes
背景
NEJMは、GRADEによる抗2型糖尿病(T2D)薬の直接比較二研究を併載している。
アメリカGeorge Washington UniversityのLachinら(GRADE)は、T2D患者5047名を対象として、メトホルミンに対する追加血糖降下薬(インスリングラルギンU100・グリメピリド・リラグルチド・シタグリプチンリン酸塩水和物)の効果を比較するRCTを行った。HbA1c(一次アウトカム)に加えられた2次アウトカムは、高血圧・脂質異常症・アルブミン尿・GFR・糖尿病性末梢神経障害・心血管イベント・入院・死亡である。
結論
5年のフォローアップで、二次アウトカムに群間有意差はなかったが、全心血管疾患発生に関して群間に小さな差はあった(グラルギン1.9・グリメピリド1.9・リラグルチド1.4・シタグリプチンリン 2.0)。1薬剤を他3薬剤の統合結果と比較した場合、全心血管疾患発生HRは、グラルギン 1.1・グリメピリド 1.1・リラグルチド 0.7・シタグリプチンリン 1.2であった。
評価
前回のGRADE試験一次アウトカムに関する主論文では「グラルギン・リラグルチドがわずかに良い」としていたが(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36129996/)、微小血管・心血管疾患に関するこの2次アウトカム分析では「大差なし」とする結果となった。ただし、著者らは、リラグルチドは血圧に有益ではないか、としている。 また、一次アウトカム論文同様SGLT2阻害薬は検証外である。