多発性骨髄腫にGPRC5D標的CAR T細胞療法が登場
GPRC5D-Targeted CAR T Cells for Myeloma
背景
Gタンパク質共役型受容体GPRC5Dは、多発性骨髄腫(MM)における新たな免疫療法ターゲットと目されている。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのMailankodyらは、BCMA標的CAR T細胞療法後再発患者を含め、多治療歴のあるMM患者に対して、4種の用量でGPRC5D標的CAR T細胞療法(MCARH109)を実施し、安全性と奏効を評価する第1相用量漸増試験を実施した。
結論
17名が登録された。最大耐量はCAR T細胞150×106個とされた。450×106個では1名にグレード4のサイトカイン放出症候群・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群、2名にグレード3の小脳障害が認められた。患者全体の71%、25×106個から150×106個の投与を受けた患者では、58%で奏効が報告された。BCMA標的CAR T細胞療法歴のある患者では、10名中7名、うち25×106個から150×106個の患者では、6名中3名で奏効が認められた。
評価
BCMA標的CAR T細胞療法への耐性を獲得したMMへの治療選択肢はほとんど無いが、MCARH109はBCMA標的治療後の患者でも半数に奏効をもたらした。順次ないし同時標的化の可能性を拡げる第1相結果である。