グローバルに男女のCVDリスクを比較:PURE
Metabolic, behavioural, and psychosocial risk factors and cardiovascular disease in women compared with men in 21 high-income, middle-income, and low-income countries: an analysis of the PURE study
背景
PURE(The Prospective Urban Rural Epidemiology)は、カナダMcMasterグループが主導するグローバル疫学研究である。同研究のWalli-Attaeiらは、低〜高所得21カ国のベースラインでCVDのない35〜70歳者(n=155,724)を対象とする10年間追跡調査により、重大CVDイベント(CVD死・心筋梗塞・脳卒中・心不全)と、心血管リスクの男女差を推定する前向コホート研究を行った。
結論
全体的に女性、特に若年女性は男性よりCVDリスクが低かった。代謝性リスク因子は男女とも類似していたが、男性は高non-HDLコレステロール値と重大CVDリスクの関連が強く(HR 男性1.28・女性1.11)、その他脂質マーカーも男性の方が高リスクパターンを有した。鬱症状との関連も男性の方が強かったが(HR 男性1.42・女性1.09 )、逆に女性はPUREスコア4以下の食習慣との関連が強かった(HR 男性1.07・女性1.17)。行動・心理社会的リスク要因と関連する総PAFは男性の方が女性より強く(男性15.7%・女性8.4%)、その原因は男性の喫煙の人口寄与割合(PAF)によるところが大きかった(男性10.7% vs. 女性1.3%)。
評価
同研究の2020年論文(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31492503/)の男女別解析とみられる。著者らは、低中所得国まで含めたこのような大規模調査は初とし、リスク要因にはGDP差がみられないこと、男女間の差はリスク因子への応答の量的差異であるとしている。