低・中間リスク前立腺がんでエンザルタミド治療に利益:ENACT試験
Enzalutamide Monotherapy vs Active Surveillance in Patients With Low-risk or Intermediate-risk Localized Prostate Cancer: The ENACT Randomized Clinical Trial
背景
高リスクの限局性前立腺がんでは、ホルモン療法が治療選択肢となるが、低リスク・中間リスクの患者に対してエンザルタミド治療は利益を有するか。
アメリカCarolina Urologic Research CenterのShoreらは、アクティブサーベイランスを受ける低・中間リスク前立腺がん患者を、1年間のエンザルタミド単剤治療、またはアクティブサーベイランスの継続へと割り付ける第2相ランダム化臨床試験ENACTを実施した(n=227)。
結論
エンザルタミド治療は、アクティブサーベイランスと比較して進行リスクを46%減少させた(ハザード比 0.54)。エンザルタミド群では生検陰性の確率も高く、1年時点での陽性コア率、PSAの二次的上昇率も有意に低下した。6ヵ月PSA進行リスクも低下した(ハザード比 0.71)。エンザルタミド治療中の有害事象として、疲労・女性化乳房が多く報告された。治療に関連した死亡はなかった。
評価
近年、低リスク患者では、監視療法が選択される傾向にあるが、本試験は、この集団でエンザルタミド治療により進行リスクを抑制しうることを示した。ただ、ここで示された利益が副作用のリスクや高額なコストに見合っているのかについては、十分な議論が必要であろう。