断酒・減酒でがんリスクを低減:韓国コホート研究
Association Between Changes in Alcohol Consumption and Cancer Risk
背景
飲酒が癌のリスクを増すことは多くの研究によって確証されているが、アルコール摂取をやめたり、減らしたりすることでリスクを抑制することはできるか。
韓国Seoul National University HospitalのYooらは、Korean National Health Insurance Serviceの被保険者のうち、2009年・2011年に国民健康診断を受けた40歳以上の個人において、飲酒量の変化とアルコール関連がん・全がん発症との関連を調査した(n=4,513,746)。
結論
中央値6.4年のフォローアップで、1,000人年あたり7.7件のがん発症があった。非飲酒者が軽度(15 g/日未満)、中等度(15-29.9 g)、重度(30 g以上)の飲酒を始めると、それぞれハザード比1.03、1.10、1.34でアルコール関連がんリスクが増加した。軽度飲酒者が断酒すると、アルコール関連がんのリスクが低下した(0.96)。中等度・重度の飲酒者が断酒をすると、全がんリスクが上昇したが、断酒の継続によりリスク上昇は消失した。重度飲酒者が、中等度もしくは軽度へと減酒すると、アルコール関連がん・全がんリスクが減少した。
評価
大規模な集団ベース研究により、アルコール摂取の経時的変化が、どのようにがんリスクに影響するかを明らかにした。全体としては断酒・減酒により、がんリスクが低下しており、飲酒者へ説得力のあるメッセージをもたらす。興味深いことに、中等度以上の飲酒者で断酒後に一時的ながんリスクの上昇がみられたが、これは所謂 “sick-quitter” 効果と思われる。