断酒・減酒でがんリスクを低減:韓国コホート研究
Association Between Changes in Alcohol Consumption and Cancer Risk

カテゴリー
がん
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
August 2022
5
開始ページ
e2228544

背景

飲酒が癌のリスクを増すことは多くの研究によって確証されているが、アルコール摂取をやめたり、減らしたりすることでリスクを抑制することはできるか。
韓国Seoul National University HospitalのYooらは、Korean National Health Insurance Serviceの被保険者のうち、2009年・2011年に国民健康診断を受けた40歳以上の個人において、飲酒量の変化とアルコール関連がん・全がん発症との関連を調査した(n=4,513,746)。

結論

中央値6.4年のフォローアップで、1,000人年あたり7.7件のがん発症があった。非飲酒者が軽度(15 g/日未満)、中等度(15-29.9 g)、重度(30 g以上)の飲酒を始めると、それぞれハザード比1.03、1.10、1.34でアルコール関連がんリスクが増加した。軽度飲酒者が断酒すると、アルコール関連がんのリスクが低下した(0.96)。中等度・重度の飲酒者が断酒をすると、全がんリスクが上昇したが、断酒の継続によりリスク上昇は消失した。重度飲酒者が、中等度もしくは軽度へと減酒すると、アルコール関連がん・全がんリスクが減少した。

評価

大規模な集団ベース研究により、アルコール摂取の経時的変化が、どのようにがんリスクに影響するかを明らかにした。全体としては断酒・減酒により、がんリスクが低下しており、飲酒者へ説得力のあるメッセージをもたらす。興味深いことに、中等度以上の飲酒者で断酒後に一時的ながんリスクの上昇がみられたが、これは所謂 “sick-quitter” 効果と思われる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)