心停止蘇生後昏睡患者の酸素目標値は制限的でよい:BOX試験
Oxygen Targets in Comatose Survivors of Cardiac Arrest
背景
近年の研究は、心停止から蘇生した患者での酸素化目標値は高すぎない方がよい、と示唆している。
デンマークUniversity of Southern DenmarkのSchmidtらは、2×2要因デザインによるランダム化比較試験BOXにおいて、院外心停止後の昏睡状態にある成人患者に対する人工呼吸酸素化目標値として、PaO2 9-10 kPa(68-75 mmHg)の制限的目標値または13-14 kPa(98-105 mmHg)のリベラルな目標値を割り付け、CPC 3-5(高度障害〜死亡)の割合を比較した(n=789)。
結論
90日間で制限目標群の32.0%、リベラル目標群33.9%で一次アウトカムイベントが発生した(ハザード比 0.95)。90日死亡率は、それぞれ28.7%、31.1%であった。CPCの中央値は各群とも1で、修正ランキンスケールの中央値は制限目標群で2、リベラル目標群で1であった。
評価
近年のエビデンスは高い酸素化レベルを目指す必要はないことを示唆しているが、この試験でも、心停止後昏睡患者における68-75 mmHgという低い酸素目標値の安全性が確認された。同試験における2×2のもう一方、血圧目標値に関する結果もNEJM誌に同時発表されている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2208687)。