CT陰性の軽症頭部外傷でも完全な機能回復は少ない
Outcomes in Patients With Mild Traumatic Brain Injury Without Acute Intracranial Traumatic Injury

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
August 2022
5
開始ページ
e2223245

背景

軽症の外傷性脳損傷(mTBI)患者の死亡リスクは低いものの、一部の患者は長期的な後遺症に悩まされることが明らかにされつつある。
アメリカUniversity of California San FranciscoのMadhokらは、都市部一次外傷センター18施設で実施された前向観察コホート研究 Transforming Research and Clinical Knowledge in Traumatic Brain Injury(TRACK-TBI)において、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)15かつ頭部CT陰性であったmTBI患者(n=991)を、受傷後2週間・6ヵ月時点で評価し、機能的回復(GOS-Eスコア8で完全な回復)の割合を検討した。

結論

患者の平均年齢は38.5歳、64%が男性であった。受傷後2週間のフォローアップを受けた患者(76%)のうち、完全な機能回復は27%、残り73%が不完全な回復であり、6ヵ月後のフォローアップ(66%)では、完全な機能回復は44%、不完全な回復は56%であった。回復が不完全な患者の多く(88%)は、受傷前の生活に復帰できていないと報告した。完全回復患者と比して、不完全な患者では脳震盪後症状(Rivermead Post Concussion Symptoms Questionnaire)スコアが低かった。

評価

CT陰性で、GCS=15のmTBIでもかなりの患者が十分に回復せず、長期的な症状に悩まされることを確認した。リハビリを念頭に置いたフォローアップ管理が必要な集団と考えられる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)