妊娠糖尿病診断の数値基準は:GEMS
Lower versus Higher Glycemic Criteria for Diagnosis of Gestational Diabetes

カテゴリー
生活習慣病
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
August 2022
387
開始ページ
587

背景

妊娠糖尿病の診断基準血糖値は確定していない。
ニュージーランド University of AucklandのCrowtherら(GEMS)は、妊娠24〜32週の女性4,061名を対象として、この問題を検証するRCTを行った。患者を1:1の割合で低基準血糖値群(FBS92mg/dL [≧5.1mmol/L]以上、1時間値180mg/dL [≧10.0mmol/L]以上、もしくは2時間値153mg/dL [≧8.5mmol/L]以上)と高基準血糖値群(FBS99mg/dL [≧5.5 mmol/L]]以上、もしくは2時間値162mg/dL [≧9.0mmol/L]以上)に割付けた。一次アウトカムは、在胎不当過大児(LGA児)の出産である。

結論

低基準値では15.3%、高基準値では6.1%が妊娠糖尿病と診断され、高/低基準値群の一次アウトカムリスクに有意差はなかった。

評価

「病気」の存在自体を決める重要問題(https://dmsjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13098-019-0406-1)であるにも関わらず、未だ決着がついていない。この試験では陣痛促進剤利用、ヘルスケア利用、薬剤利用、新生児低血糖は低基準値群で多く発生したが、著者らは診断妊婦が多かったのが理由ではないかとしている。単純な結論は、低基準値化は必要ない、ということになるが、一方、NEJMEditorialは「さらなる研究が必要」としている。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)