妊娠糖尿病診断の数値基準は:GEMS
Lower versus Higher Glycemic Criteria for Diagnosis of Gestational Diabetes
背景
妊娠糖尿病の診断基準血糖値は確定していない。
ニュージーランド University of AucklandのCrowtherら(GEMS)は、妊娠24〜32週の女性4,061名を対象として、この問題を検証するRCTを行った。患者を1:1の割合で低基準血糖値群(FBS92mg/dL [≧5.1mmol/L]以上、1時間値180mg/dL [≧10.0mmol/L]以上、もしくは2時間値153mg/dL [≧8.5mmol/L]以上)と高基準血糖値群(FBS99mg/dL [≧5.5 mmol/L]]以上、もしくは2時間値162mg/dL [≧9.0mmol/L]以上)に割付けた。一次アウトカムは、在胎不当過大児(LGA児)の出産である。
結論
低基準値では15.3%、高基準値では6.1%が妊娠糖尿病と診断され、高/低基準値群の一次アウトカムリスクに有意差はなかった。
評価
「病気」の存在自体を決める重要問題(https://dmsjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13098-019-0406-1)であるにも関わらず、未だ決着がついていない。この試験では陣痛促進剤利用、ヘルスケア利用、薬剤利用、新生児低血糖は低基準値群で多く発生したが、著者らは診断妊婦が多かったのが理由ではないかとしている。単純な結論は、低基準値化は必要ない、ということになるが、一方、NEJMEditorialは「さらなる研究が必要」としている。

