がん死亡の4割以上はたばこ・アルコールなどのリスクに起因する:GBD 2019
The global burden of cancer attributable to risk factors, 2010-19: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019
背景
Global Burden of Diseaseは、主要な疾患・外傷・リスク因子による死亡・障害の疾病負荷を推定・評価する国際的なリサーチプログラムであり、その結果は多くLancetに報告される。
GBD 2019 Cancer Risk Factorsは、GBD 2019の比較リスク評価フレームワークを用い、がん疾病負荷における行動・環境・職業・代謝の各リスク因子の寄与を、82のリスクーアウトカム対について推定した。
結論
分析に含まれたリスク因子は、2019年に445万人の死亡(うち男性288万人)、障害調整生存年損失(DALY)で1億500万年に寄与した。これはすべてのがん死亡の44.4%(男性50.6%・女性36.3%)、すべてのDALYの42.0%に相当した。死亡・DALYへの寄与が最も大きいリスク因子は喫煙で、アルコール摂取と高BMIがこれに続いた。また、主要なリスク因子は地域によって異なっており、社会人口統計学的特性指数(SDI)の低い途上国では、喫煙、リスクのある性交、アルコール摂取が上位であった。2010年から2019年にかけて、リスク依存性のがん死亡は20.4%、DALYは16.8%増加し、代謝性リスクの増加が最も大きかった(34.7%、33.3%)。
評価
リスク因子に起因するがんとは修飾可能、つまり予防可能ながんであり、がん死亡の4割以上がリスク起因であるというこの推定は、世界のがん公衆衛生に大きな改善の余地があることを示す。