若年脳卒中の増加の実態は:Oxford研究
Association of Younger vs Older Ages With Changes in Incidence of Stroke and Other Vascular Events, 2002-2018
背景
若年者の脳卒中発生率が世界的に増加している。
イギリスUniversity of OxfordのRothwellらは、2002年4月〜2018年3月に同国Oxfordshireの94,567名を対象とする人口ベース前向調査を行った。一次アウトカムは、年齢・性別・診断ワークアップ・病因・重症度層別化による脳卒中・TIA・主要血管イベント(心筋梗塞・心臓突然死・末梢血管イベント)発生率の変化である。
結論
2,429件の脳卒中発生を確認した(平均年齢73.6)。2002〜2010年と2010〜2018年で、脳卒中発生率は55歳未満で有意に増加し(IRR 1.67)、55歳以上で有意に減少した(IRR 0.85)。55歳未満での発生率増加は、心筋梗塞他のMACEには認められなかった。55歳未満でのTIA・脳卒中は、糖尿病(RR 3.47)・高血圧(2.52)・現喫煙(2.38)・肥満(1.36)と有意に関連したが、2002〜2010年から2010〜2018での増加は、これらリスク因子のない個人でも有意だった。増加は専門職/管理職で最も大きく(IRR 2.52)、半熟練/非熟練職で最も少なかった(1.17)。既知の血管危険因子を持たない55歳未満の患者におけるTIA・脳卒中が近年有意に増加しており、特に不祥(cryptic)イベントの増加が顕著である(絶対差 30.7%)。
評価
世界的な問題(https://jnnp.bmj.com/content/91/4/411)に関する最も詳細な人口集団分析である。生活習慣や環境因子の影響とともに、cryptic eventの激増を指摘しており、以降の研究の枠組みを提示するものになった。