レジスタントスターチがリンチ症候群患者のがんを予防:CAPP2試験
Cancer Prevention with Resistant Starch in Lynch Syndrome Patients in the CAPP2-Randomized Placebo Controlled Trial: Planned 10-Year Follow-up
背景
CAPP2試験は、世界43施設のリンチ症候群患者を対象として、2年間(最大4年)のアスピリン(一日600 mg)およびにレジスタントスターチ(難消化性デンプン, 30 g)によるポリープ・腺腫・がんの予防効果を検証するプラセボ対照ランダム化比較試験であり、2011年にアスピリン群でのがん発生が有意に低下したことを報告している。
イギリスNewcastle UniversityのMathersらは、レジスタントスターチについての事前に予定された10年フォローアップ結果を報告した(n=918)。
結論
最大20年のフォローアップ期間で、大腸がん発症数はレジスタントスターチ群52件、プラセボ群53件と差は無かったが、大腸以外のリンチ症候群関連がんは、それぞれ27件、48件とレジスタントスターチ群で減少した(ハザード比0.54)。効果は特に上部消化管がんで大きかった(5件 vs. 21件)。がんの減少は最初の10年ですでに認められ、その後も持続した。アスピリンとの相互作用は認められなかった。
評価
血糖値の抑制や腸内代謝の改善などが謳われ、ダイエット食として人気があるレジスタントスターチだが、遺伝的リスクの高いリンチ症候群患者でのサプリメント摂取により、上部消化管がん等のがんが長期にわたって予防されることが明らかとなった。リンチ症候群でのがん予防戦略として推奨されるだろうが、より広い集団での効果についても検証が期待される。


