急性脳梗塞で遠隔臓器血流遮断(RIC [Remote Ischemic Conditioning])が有効?:RICAMIS試験
Effect of Remote Ischemic Conditioning vs Usual Care on Neurologic Function in Patients With Acute Moderate Ischemic Stroke: The RICAMIS Randomized Clinical Trial
背景
虚血耐性獲得は、軽度の虚血負荷によって、その後の重度虚血への内因性耐性が獲得される現象であるが、発症前に予め虚血負荷を行うことは現実的でなく、臨床応用は難しいと考えられてきた。しかし近年、脳虚血からの再灌流後、あるいは脳から離れた血流の遮断でも神経保護効果が認められるに至り、このコンセプトの可用性は大きく拡がった。
中国General Hospital of Northern Theatre CommandのChenらは、中等症の急性脳梗塞患者に対するガイドライン準拠治療に加えて、介入群では両側上肢をカフにより、200 mmHgまで圧迫(5分間圧迫ー5分間解除を5サイクル)する遠隔虚血コンディショニング(RIC)を行い、機能的アウトカムを比較する多施設ランダム化比較試験RICAMISを実施した(n=1,893)。
結論
90日時点での良好アウトカム(modified Rankin Scaleが0または1)率は、RIC群67.4%、対照群62.0%であった(オッズ比1.27)。有害事象は、それぞれ6.8%、5.6%で発生した。
評価
急性心筋梗塞に対しては、CONDI-2/ERIC-PPCI試験がネガティブ結果となったRIC療法だが、急性脳梗塞での本試験においては、機能的アウトカムの改善が認められた。1,500人の登録を予定してるデンマークのRESIST試験(NCT03481777)など、他のRCTによって再現されれば、脳梗塞治療のゲームチェンジャーとなる。


