COVID-19の血栓塞栓症リスクがインフルエンザより高いのは静脈系だけ?
Association of COVID-19 vs Influenza With Risk of Arterial and Venous Thrombotic Events Among Hospitalized Patients
背景
COVID-19は動静脈血栓塞栓症発生リスクが高いという印象がある。
University of PennsylvaniaのLo Re IIIらは、ワクチン利用可能となる前後に入院した成人患者93,906名の入院後90日間、動脈血栓塞栓症(急性心筋梗塞・虚血性脳卒中)・静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症)の発症リスクをパンデミック前のインフルエンザ入院患者と比較する後向コホート研究を行った。
結論
COVID-19入院患者は、インフルエンザ入院患者より静脈血栓塞栓症の90日リスクが有意に高かった(aHR:[ワクチン以前]1.60;[以後]1.89)が、動脈血栓塞栓症リスクには有意差がなかった。
評価
初期のCOVID-19入院患者では、DIC様病態等が注目されたが、大規模データでインフルエンザより高かったのは、静脈系血栓塞栓症リスクだけであった、という意外な結論である。ただし著者らは、COVID-19入院患者の動脈血栓塞栓症90 日リスクは、高齢者・男性・ICU 入室者・人工呼吸器使用者・心血管疾患既往者で有意に高かった、としている。