REDUCE-ITのEPA効果はプラセボ効果?
Effects of Randomized Treatment With Icosapent Ethyl and a Mineral Oil Comparator on Interleukin-1β, Interleukin-6, C-Reactive Protein, Oxidized Low-Density Lipoprotein Cholesterol, Homocysteine, Lipoprotein(a), and Lipoprotein-Associated Phospholipase A2: A REDUCE-IT Biomarker Substudy

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Circulation
年月
August 2022
146
開始ページ
372

背景

REDUCE-ITは、アイコサペント酸エチル(EPA)使用の心血管有益性を示す高インパクト結果を提出した。
Brigham and Women’s HospitalのRidkerらは、EPA群とプラセボ(鉱油)群とにおける動脈硬化リスク関連バイオマーカー(IL-1β・IL-6・hsCRP・酸化LDLコレステロール・ホモシステイン・Lp(a)・Lp-PLA2)を比較する再検証を行った。

結論

ベースライン時の各バイオマーカー中央値は、両群間同等であった。動脈硬化関連全バイオマーカーレベルは、プラセボ鉱油群で経時的に上昇した。12ヵ月後のベースラインからの増加率中央値は、ホモシステインで1.5%、Lp(a)で2.2%、酸化LDLコレステロールで10.9%、IL-6で16.2%、Lp-PLA2で18.5%、hsCRPで21.9%、IL-1βで28.9%で、24ヵ月後でも同様の変化がみられた。
他方、EPA群では、全バイオマーカーの変化は非有意だった。この結果、群間治療差は、Lp(a)で2.4%、ホモシステインで3.0%、酸化LDLコレステロールで4.2%、IL-6で19.8%、hsCRPで38.5%、IL-1βで48.7%で、鉱油群での上昇をほぼ反映していた 。

評価

類似のSTRENGTHがEPA+DHA を コーン油と比較して有意差を出さなかったため(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2773120)、同研究者からREDUCE-ITが批判されていたものである。著者らは、ここでの結果とREDUCE-ITの主要結果(心血管イベント発生率)との関連はuncertainであると述べているが、プラセボが不適切であったことは確実である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)