ARDSのアスピリン治療は無益か:STAR試験
Aspirin as a Treatment for ARDS: A Randomized, Placebo-Controlled Clinical Trial
背景
血小板は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の病態生理に関与しており、アスピリンがARDS患者の良好な予後と関連するとする観察研究も存在する。
北アイルランドQueen’s University BelfastのTonerらは、5施設のICUに入室するARDS患者を対象に、最大14日間のアスピリンカプセルまたはプラセボの経腸投与を行い、Oxygenation Index(OI)およびその他のアウトカムを比較する第2相ランダム化プラセボ対照試験STARを実施した。
結論
除外基準の厳しさから患者登録が進まず(コロナ流行とは無関係)、予定の60名に満たない49名の登録時点で試験は中止された。7日目のOIは、アスピリン群で54.4、プラセボ群では42.4であり、有意な差はなかった。また、二次アウトカムへの有意な影響もなく、有害事象の発生数にも群間差はなかった。
評価
臨床エンドポイントに加えて、生理学マーカーにも差はなかった。ARDSに対するアスピリンについては、予防的使用を検討したLIPS-A試験も失敗しており、これ以上の検証は正当化されないだろう(https://doi.org/10.1001/jama.2016.6330)。