がん新薬のほとんどはQOLを改善しない
Association of Quality-of-Life Outcomes in Cancer Drug Trials With Survival Outcomes and Drug Class
背景
QOLはがん治療の重要な目的の一つであるが、がん治療薬の臨床試験においてQOLが重視されることは少ない。
カナダQueen’s UniversityのSamuelらは、2019年にジャーナルに英語で発表された、進行がんに対するがん治療薬の第3相ランダム化比較臨床試験の後向コホートにおいて、QOLアウトカム・全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)の関連、およびそれらの結果をどのように提示しているかを調査した。
結論
45件の第3相試験が基準を満たした(n=24,806)。グローバルQOLの改善は11件(24%)の試験で報告され、これらの試験ではOSの改善が示される傾向にあった(64% vs. 29%)。ただし、PFSについては関連は認められなかった。QOLの悪化を示した試験は6件あり、このうち3件は標的薬の試験であった。QOLの改善が示されなかった34件の試験のうち、47%でQOLについて好意的な報告がなされていた。
評価
大半の試験ではQOLは改善されておらず、意外にもQOL悪化は細胞傷害性薬剤よりも標的薬の方が多かった。多くの報告がQOLアウトカムについての誇張を含んでいた事実は特に重大で、QOLの報告には、より厳格な規定が必要となる。