急性疾患患者での予防的抗凝固療法ではLMWHが最良:メタ解析
Anticoagulants for thrombosis prophylaxis in acutely ill patients admitted to hospital: systematic review and network meta-analysis
背景
急性疾患により入院中の患者では静脈血栓塞栓症のリスクが高くなり、予防的抗凝固療法が検討されてきた。
オランダUniversity of GroningenのEckらは、入院中の急性期成人患者における静脈血栓塞栓症の予防に関して、低分子ヘパリン(LMWH)・未分画ヘパリン(UFH)・直接経口抗凝固薬(DOAC)・五炭糖・プラセボ・介入なしを比較したランダム化比較試験を特定し、全原因死亡その他のアウトカム・有害事象を比較するシステマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスを実施した。
結論
計44件のランダム化比較試験(n=90,095)が解析に含まれた。いずれの介入も、プラセボと比して全原因死亡率を低下させなかった。五炭糖(オッズ比0.32)・中用量LMWH(0.66)・DOAC(0.68)・中用量UFH(0.71)は症候性静脈血栓塞栓症を抑制する傾向があった。中用量UFHとDOACは大出血を増加させる可能性が高かった。重篤有害事象に関して明確な差は認められなかった。無介入と比較した場合、すべての介入が塞栓症・死亡リスクについてより有益と認められた。
評価
血栓塞栓の予防と大出血リスクの低さの点で、中用量LMWHが最もバランスのよい介入と考えられた。COVID-19では、酸素投与の必要な中等症以上に対してUFHが推奨されている。