乳がんサバイバーは糖尿病・高血圧リスクが高い
Risk of Cardiometabolic Risk Factors in Women With and Without a History of Breast Cancer: The Pathways Heart Study
背景
乳がんからのサバイバーでは心血管リスクが高まるが、特に心代謝性疾患に関しては未明な点がある。
Kaiser Permanente Northern CaliforniaのKwanらは、2005〜2013年に浸潤性乳がんと診断された女性(n=14,942)と、出生年・人種・民族について1:5でマッチングした非がん対照(n=74,702)において、高血圧・糖尿病・脂質異常症のリスクを比較した。
結論
乳がんサバイバーでは2年累積の高血圧(10.9% vs. 8.9%)、糖尿病発症率が高く(2.1% vs. 1.7%)、10年後でも糖尿病発症率が高かった(9.3% vs. 8.8%)。多変量モデルではサバイバーの糖尿病リスクが高く(部分分布ハザード比1.16)、化学療法(1.23)、左側放射線治療(1.29)、ホルモン療法(1.23)が糖尿病リスクと関連した。高血圧リスクと関連したのは、左側照射(1.11)、ホルモン療法(1.10)であった。
評価
同グループによる乳がんサバイバーのCVDリスク研究と併載された(https://doi.org/10.1200/JCO.21.01736)。サバイバーではわずかとはいえ、糖尿病・高血圧のリスクが高く、治療の様式がこのリスク上昇に関連した。運動を含めた各種介入が、このリスクを軽減できるかが、今後の検討課題である。