BRCA変異と乳がん・卵巣がん以外のがんのリスク
Cancer Risks Associated With BRCA1 and BRCA2 Pathogenic Variants

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
May 2022
40
開始ページ
1529

背景

BRCA1・BRCA2の病原性バリアントは、女性の乳がん・卵巣がんのリスク因子として確立されているが、近年さらに膵がんや男性乳がん、前立腺がんなどのと関連も示唆されている。
オーストラリアUniversity of MelbourneのLiらは、Consortium of Investigators of Modifiers of BRCA1/2に登録された3,184のBRCA1家系、2,157のBRCA2家系のデータを用いて、女性の乳がん、卵巣がん以外についてのリスクを推定した。

結論

BRCA1の病原性バリアントは、男性乳がん(年齢別相対リスク4.30)、膵がん(2.36)、胃がん(2.17)のリスクと関連し、大腸がん、胆嚢がんとの関連も示唆された。BRCA2の病原性バリアントは、男性乳がん(44.0)、胃がん(3.69)、膵がん(3.34)、前立腺がん(2.22)のリスクと関連した。胃がんの相対リスクは女性で大きかった。80歳までの絶対リスクは、BRCA1キャリアでは男性乳がん0.4%から膵がん2.5%の範囲であり、BRCA2キャリアでは膵がんの2.5%から前立腺がんの27%の範囲であった。

評価

これまで曖昧だった乳がん・卵巣がん以外のがんリスクへの影響を、国際的なBRCA家系調査から明らかにした。男性乳がん、膵臓がんを含む複数のがんでリスクの上昇がみられており、BRCAスクリーニングやキャリアでの管理最適化に不可欠な知見となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)