BRCA変異と乳がん・卵巣がん以外のがんのリスク
Cancer Risks Associated With BRCA1 and BRCA2 Pathogenic Variants
背景
BRCA1・BRCA2の病原性バリアントは、女性の乳がん・卵巣がんのリスク因子として確立されているが、近年さらに膵がんや男性乳がん、前立腺がんなどのと関連も示唆されている。
オーストラリアUniversity of MelbourneのLiらは、Consortium of Investigators of Modifiers of BRCA1/2に登録された3,184のBRCA1家系、2,157のBRCA2家系のデータを用いて、女性の乳がん、卵巣がん以外についてのリスクを推定した。
結論
BRCA1の病原性バリアントは、男性乳がん(年齢別相対リスク4.30)、膵がん(2.36)、胃がん(2.17)のリスクと関連し、大腸がん、胆嚢がんとの関連も示唆された。BRCA2の病原性バリアントは、男性乳がん(44.0)、胃がん(3.69)、膵がん(3.34)、前立腺がん(2.22)のリスクと関連した。胃がんの相対リスクは女性で大きかった。80歳までの絶対リスクは、BRCA1キャリアでは男性乳がん0.4%から膵がん2.5%の範囲であり、BRCA2キャリアでは膵がんの2.5%から前立腺がんの27%の範囲であった。
評価
これまで曖昧だった乳がん・卵巣がん以外のがんリスクへの影響を、国際的なBRCA家系調査から明らかにした。男性乳がん、膵臓がんを含む複数のがんでリスクの上昇がみられており、BRCAスクリーニングやキャリアでの管理最適化に不可欠な知見となる。

