パルスオキシメーターは皮膚の色で精度が変わる
Racial bias and reproducibility in pulse oximetry among medical and surgical inpatients in general care in the Veterans Health Administration 2013-19: multicenter, retrospective cohort study
背景
パルスオキシメーターは新型コロナウイルスのパンデミック禍にあって、酸素飽和度のモニタリング機器として大いに力を発揮したが、一方で人種により、その正確性が異なる可能性も指摘されるようになった。
University of MichiganのValbuenaらは、2013~2019年に退役軍人保健局の医療施設に入院した多様な人種の成人患者を対象として、パルスオキシメーターでの酸素飽和度(SpO2)が92%あるにもかかわらず、動脈血酸素飽和度(SaO2)が88%未満であるような潜伏性低酸素血症の割合、その人種間差を検証する多施設後向コホート研究を実施した(n=30,039)。
結論
SpO2が92%以上の患者における潜伏性低酸素血症の割合は、白人患者で15.6%、黒人患者で19.6%、ヒスパニック・ラテン系患者で16.2%であった。初期のSpO2-SaO2測定で潜伏性低酸素血症がみられず、同日のSpO2-SaO2再測定で潜伏性低酸素血症となる確率は、白人患者で低く(2.7%)、黒人患者では12.9%と高かった。
評価
測定原理上、パルスオキシメーターは皮膚の色の影響を受ける。
本研究はアジア人のデータを示していないが、ジョンズ・ホプキンス大研究(https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2022.1906)では、アジア人においても潜伏性低酸素が増える可能性が示唆されている。治療の格差につながる可能性も指摘されており、デバイスの改良が望まれる。