ケタミン+フェンタニルによるRSIは安全か:FAKT
Fentanyl versus placebo with ketamine and rocuronium for patients undergoing rapid sequence intubation in the emergency department: The FAKT study-A randomized clinical trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
June 2022
29
開始ページ
719

背景

ケタミンは迅速導入気管挿管(RSI)において確立された薬剤だが、頻脈と高血圧を引き起こす場合がある。フェンタニルの追加は血圧のコントロールに寄与するか。
オーストラリアUniversity of New South WalesのFergusonらは、同国5施設の救急外来でRSIを必要とする患者を、ケタミン+ロクロニウムに加えてフェンタニルまたはプラセボの投与へと割り付け、収縮期血圧が指定された範囲(100-150 mmHg)外となった患者の割合を比較するランダム化比較試験FAKTを実施した(n=290)。

結論

少なくとも1度収縮期血圧が100-150 mmHg外となった患者の割合は、フェンタニル群の66%、プラセボ群の65%であった。99 mmHg以下の低血圧はフェンタニル群で多く(29% vs. 16%)、150 mmHg以上の高血圧はプラセボ群で多かった(69% vs. 55%)。初回挿管成功率、30日死亡率、人工呼吸器不要日数は同等であった。

評価

一次アウトカム率は変わらなかったものの、フェンタニル併用群では低血圧が多く、プラセボ群では高血圧が多くなった。高血圧を避ける必要がある患者ではフェンタニルを併用することも考慮される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)