なぜ肺がんになる喫煙者とならない喫煙者がいるのか
Single-cell analysis of somatic mutations in human bronchial epithelial cells in relation to aging and smoking
背景
喫煙は肺がん発症の決定的リスクだが、一方で多くの喫煙者は肺がんを発症しないことも事実である。
Albert Einstein College of MedicineのHuangらは、未喫煙から116 pack-years(1日1パックを1年で1 pack-yearに相当)の喫煙歴を有する11〜86歳の被験者33名から得られた中枢気管支の基底細胞に対して、シングルセル全ゲノムシークエンシングを実施した。
結論
一塩基変異、小さな挿入・欠失変異の変異頻度は、年齢とともに上昇し、喫煙者では有意に高かった。また、pack-yearに対してプロットを行うと、変異頻度は約23 pack-yearsまで直線的に増加し、その後は増加しなかった。
評価
喫煙者における変異の蓄積は、ある地点でプラトーに達することが明らかにされた。重喫煙者で変異を回避する何らかのシステムが存在する可能性を示唆する知見であり、深掘りすれば、肺がんリスク評価の精緻化がもたらされるかもしれない。