重症頭部外傷の病院前血圧、130 mmHg以下で死亡増
Optimal Out-of-Hospital Blood Pressure in Major Traumatic Brain Injury: A Challenge to the Current Understanding of Hypotension
背景
重症の外傷性脳損傷(TBI)における低血圧はアウトカムの悪化と関連するが、具体的にはどのような閾値が危険・安全なのか?
University of ArizonaのSpaiteらは、Excellence in Prehospital Injury Care(EPIC) TBI研究の、重症TBIかつ病院前での収縮期血圧40-299 mmHgの患者を対象とした事前計画二次解析を実施し、病院前収縮期血圧と各種アウトカムとの関連を評価した(n=12,169)。
結論
調整死亡率モデルは、(1)収縮期血圧が40-130 mmHgの区間では、血圧の増加に伴い死亡率が単調減少すること、(2)130-180 mmHgの区間で死亡率が最低となること、(3)180 mmHgを超えると急速に上昇することを明らかにした。孤発性TBIと多臓器損傷の各サブコホート解析でも、同様のパターンが示された。死亡率以外の各アウトカムについても類似したパターンが確認された。
評価
重症TBI患者の死亡リスクは、収縮期血圧130-180 mmHgを底とするU字形を描いた。この至適範囲はガイドラインなどが示す目標下限よりもかなり高い位置にあり、検証が必要である。