拡張型心筋症に新しいICL(Imperial College London)分類
Precision Phenotyping of Dilated Cardiomyopathy Using Multidimensional Data
背景
拡張型心筋症(DCM)には未だ良い分類システムがない。
英Imperial College LondonのPrasadらは、臨床属性・遺伝子型・CMR所見・プロテオミクスデータに基づき、プロファイル回帰を用いた機械学習によるリスク評価分類を行った(UK-derivation [n = 426]、Dutch-validation [n=239])。一次複合アウトカムは、心血管死・心不全・不整脈イベントである(追跡期間中央値 4 年)。
結論
3つの新サブタイプを同定した:線維化-代謝型(profibrotic metabolic)、軽症非線維化型(mild nonfibrotic)、両室障害型(biventricular impairment)。
線維化-代謝型患者は糖尿病が多く、心筋線維化が広汎で、右室機能が保持され、クレアチニンが上昇していた。臨床応用のためには、5変数(左右心室収縮末期容積・左房容積・心筋線維化・クレアチニン)分類が十分であった。新サブタイプの設定により、C-statisticは0.60から0.76に改善された。IL4Rαが、導出・検証両コホートで新規予後マーカとして同定された(HR:各3.6・1.94)。
評価
後期症状でなく初期症状まで含め、CMRを重視したことで、リスク予測にフォーカスした簡明な新分類を提出した。「ICL分類」として新たなたたき台となる。さらに、新規マーカとしてのIL4Rαの同定は、遺伝子ベースが15%しか解明されていないこの疾患で、病態形成論の新しい鍵となりえる。