NT-proBNPを用いた急性心不全診断ツールを開発
Development and validation of a decision support tool for the diagnosis of acute heart failure: systematic review, meta-analysis, and modelling study
背景
N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)の急性心不全診断におけるパフォーマンス検証は、すでに多数にのぼっている。
イギリスUniversity of EdinburghのLeeらは、急性心不全が疑われる患者を対象にNT-proBNPの診断性能を評価したランダム化比較試験・前向観察研究を特定し、個別患者データをプールしたメタアナリシスを実施した(n=10,369)。さらにこれに基づいて、NT-proBNPと臨床変数を組み合わせ、急性心不全の確率を判定する臨床意思決定ルールCollaboration for the Diagnosis and Evaluation of Heart Failureを開発し、検証した。
結論
患者全体の43.9%が急性心不全と診断された。ガイドラインが推奨する除外閾値300 pg/mLは、陰性適中率94.6%で急性心不全を除外した。ただし、年齢別診断閾値の陽性適中率は、50歳未満の61.0%から75歳超の80.2%まで幅があった。CoDE-HFの弁別性能は良好で、心不全既往のある患者でAUROC 0.846、既往のない患者では0.925であり、Brierスコアはそれぞれ0.130、0.099であった。心不全既往のない患者における診断パフォーマンスは、急性心不全の確率が低い患者(40.3%に相当)の陰性適中率は98.6%、高確率の患者(28.0%)の陽性適中率は75.0%であった。
評価
連続的なNT-proBNP値と臨床変数からモデリングされたCoDE-HFツールは、ガイドラインの閾値よりも正確であり、患者の個別リスクにより即した管理をもたらしうる。