シフト勤務による心筋梗塞後再灌流障害増悪の分子ベースはNR1D1
Disruption of Circadian Rhythms by Shift Work Exacerbates Reperfusion Injury in Myocardial Infarction
背景
シフト勤務は急性心筋梗塞(AMI)のリスク上昇と予後悪化に関連するが、その関連メカニズムは不明である。
中国Shanghai Jiao Tong UniversityのPuらは、STEMI患者を対象にPCI後CMR検査を行った多施設前向レジストリEARLY-MYO-CMRデータに基づき、再灌流障害に対するシフト勤務の影響を検討した(n=412)。一次アウトカムは、CMRによる再灌流後梗塞サイズである。さらに、動物モデルを用いてこの関連の分子機序を検討した。
結論
シフト勤務の一次アウトカムインパクトを認めた(梗塞サイズとの関連のβ=5.94, P <0.0001)。また、シフト勤務はMACEリスク増とも関連していた(aHR:1.92)。臨床所見と一致して、マウス・羊のシフトワークシミュレーションは、AMIの再灌流障害を有意に増大させた。同モデルでは、NR1D1(Nuclear Receptor Subfamily 1 Group D Member 1)の発現が抑制されており、心筋細胞特異的Nr1d1ノックアウトマウスでは梗塞サイズが増加し、再灌流障害後にLVEFが悪化した。 さらに、AAVによるNr1d1の送達により、梗塞サイズが制限された。
評価
日本の先行研究が示唆していた関連(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29232411/)を、シフト勤務という状況でさらに確認し、遺伝子治療の可能性にまで到達した。心筋梗塞と概日リズムの関連、重要で興味深いテーマであり、世界的追試が期待される。