新たな抗PD-1抗体がdMMR局所進行直腸がんで100%奏効:第2相試験
PD-1 Blockade in Mismatch Repair?Deficient, Locally Advanced Rectal Cancer
背景
ミスマッチ修復機構の欠損(dMMR)は大腸がんの一部に認められ、免疫チェックポイント阻害薬の有効性が報告されている。
Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのCercekらは、dMMRのII期・III期直腸がん患者に対し、抗PD-1モノクローナル抗体dostarlimab(TSR-042)を3週毎、6ヵ月間投与し、臨床的完全奏効が得られた患者では、化学放射線療法・手術を回避する第2相試験を実施した。
結論
12名がdostarlimab治療を完了し、6ヵ月以上のフォローアップを受けた。12名全員で臨床的完全奏効が認められ、MRI・PETその他の評価により腫瘍が存在しないことが確認された。化学放射線療法や手術を受けた患者はなく、6〜25ヵ月のフォローアップで進行・再発は報告されなかった。また、グレード3以上の有害事象は報告されなかった。
評価
最新のASCO報告でも14名と小規模な第2相データではあるが、驚くべき完全奏効率である。他のモダリティを回避しうる点も重要で、dMMR局所進行直腸がんの治療を大きく変える可能性があるが、ひとまずは、より長期のフォローアップ結果が注目される。