KRASG12C変異肺がんにAdagrasib:KRYSTAL-1試験
Adagrasib in Non-Small-Cell Lung Cancer Harboring a KRASG12C Mutation
背景
KRASG12C変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の1割超に認められるがんドライバー変異であり、adagrasib(MRTX849)は、このKRASG12Cと不可逆かつ選択的に結合する阻害薬である。
Dana-Farber Cancer InstituteのJanneらは、プラチナ化学療法または抗PD-1/L1療法による治療歴のあるKRASG12C変異NSCLC患者を対象としたadagrasibの第1/2相試験、KRYSTAL-1の第2相コホートにおける臨床的有効性を報告した(n=116)。
結論
評価可能患者のうち、42.9%で客観的奏功が認められた。奏効持続期間は中央値8.5ヵ月、無増悪生存期間は6.5ヵ月、全生存期間は12.6ヵ月であった。安定した中枢神経系転移を有する患者33名のうち、客観的頭蓋内奏効率は33.3%であった。治療関連有害事象は97.4%で発生した。52.6%はグレード1・2で、グレード3以上は44.8%、6.9%が投薬中止に至った。
評価
Undruggableとも言われてきたKRAS変異であったが、昨年のCodeBreaK100試験によってsotorasibが初の承認薬となった。本試験のadagrasibも有望で、ドセタキセルと比較する第3相KRYSTAL-12試験(NCT04685135)が行われているほか、ペムブロリズマブとの併用なども検討されている(NCT04613596)。