KRASG12C変異肺がんにAdagrasib:KRYSTAL-1試験
Adagrasib in Non-Small-Cell Lung Cancer Harboring a KRASG12C Mutation

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2022
Online first
開始ページ
Online first

背景

KRASG12C変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の1割超に認められるがんドライバー変異であり、adagrasib(MRTX849)は、このKRASG12Cと不可逆かつ選択的に結合する阻害薬である。
Dana-Farber Cancer InstituteのJanneらは、プラチナ化学療法または抗PD-1/L1療法による治療歴のあるKRASG12C変異NSCLC患者を対象としたadagrasibの第1/2相試験、KRYSTAL-1の第2相コホートにおける臨床的有効性を報告した(n=116)。

結論

評価可能患者のうち、42.9%で客観的奏功が認められた。奏効持続期間は中央値8.5ヵ月、無増悪生存期間は6.5ヵ月、全生存期間は12.6ヵ月であった。安定した中枢神経系転移を有する患者33名のうち、客観的頭蓋内奏効率は33.3%であった。治療関連有害事象は97.4%で発生した。52.6%はグレード1・2で、グレード3以上は44.8%、6.9%が投薬中止に至った。

評価

Undruggableとも言われてきたKRAS変異であったが、昨年のCodeBreaK100試験によってsotorasibが初の承認薬となった。本試験のadagrasibも有望で、ドセタキセルと比較する第3相KRYSTAL-12試験(NCT04685135)が行われているほか、ペムブロリズマブとの併用なども検討されている(NCT04613596)。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)