TCR-T療法が膵がんに効果
Neoantigen T-Cell Receptor Gene Therapy in Pancreatic Cancer
背景
T細胞受容体遺伝子導入T細胞(TCR-T細胞)療法は、CAR-T療法と並ぶ遺伝子導入T細胞療法として注目されている。
Earle A. Chiles Research InstituteのLeidnerらは、71歳の進行切除不能膵腺がん女性に対し、変異KRAS遺伝子G12Dを標的とする同種HLA-C*08:02拘束性T細胞受容体をクローン発現するよう遺伝子操作された自家T細胞16.2×109個を単回投与する臨床試験を実施した。
結論
注入の1ヵ月後には肺転移病変の退縮が認められ、全身部分奏効率(RECIST version 1.1)は62%であった。奏効は6ヵ月時点でも持続しており、全身部分奏効率は72%であった。6ヵ月後には末梢血T細胞の2.4%を移植されたT細胞が占めた。
評価
T細胞療法は固形がんに対する効果が乏しかったが、KRAS G12D変異を標的とした、このTCR-T療法は転移性膵がんの縮小をもたらした。大腸がんや非小細胞肺がんでも一般的なKRAS変異であり、これらのがんへの応用も期待できる。