TCR-T療法が膵がんに効果
Neoantigen T-Cell Receptor Gene Therapy in Pancreatic Cancer

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2022
386
開始ページ
2112

背景

T細胞受容体遺伝子導入T細胞(TCR-T細胞)療法は、CAR-T療法と並ぶ遺伝子導入T細胞療法として注目されている。
Earle A. Chiles Research InstituteのLeidnerらは、71歳の進行切除不能膵腺がん女性に対し、変異KRAS遺伝子G12Dを標的とする同種HLA-C*08:02拘束性T細胞受容体をクローン発現するよう遺伝子操作された自家T細胞16.2×109個を単回投与する臨床試験を実施した。

結論

注入の1ヵ月後には肺転移病変の退縮が認められ、全身部分奏効率(RECIST version 1.1)は62%であった。奏効は6ヵ月時点でも持続しており、全身部分奏効率は72%であった。6ヵ月後には末梢血T細胞の2.4%を移植されたT細胞が占めた。

評価

T細胞療法は固形がんに対する効果が乏しかったが、KRAS G12D変異を標的とした、このTCR-T療法は転移性膵がんの縮小をもたらした。大腸がんや非小細胞肺がんでも一般的なKRAS変異であり、これらのがんへの応用も期待できる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)