MSI-HのIV期大腸がん対するペムブロリズマブ、OS延長は示せず:KEYNOTE-177試験の最終結果
Pembrolizumab versus chemotherapy for microsatellite instability-high or mismatch repair-deficient metastatic colorectal cancer (KEYNOTE-177): final analysis of a randomised, open-label, phase 3 study

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
May 2022
23
開始ページ
659

背景

KEYNOTE-177試験は、マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)、またはミスマッチ修復異常(dMMR)を有し、遠隔転移を認める大腸がん患者の初回治療として、ペムブロリズマブと化学療法を比較する第3相ランダム化比較試験であり(n=307)、ペムブロリズマブ群における無増悪生存期間の延長を示している。
Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのDiazらは、同試験における全生存期間の最終解析結果を報告した。

結論

化学療法群の60%(93名)が抗PD-1/PD-L1療法へとクロスオーバーした(ペムブロリズマブへは56名)。フォローアップ期間中央値44.5ヵ月時点における全生存期間は、ペムブロリズマブ群で中央値未到達、化学療法群で36.7ヵ月であった(ハザード比0.74)。無増悪生存期間はそれぞれ16.5ヵ月、8.2ヵ月とペムブロリズマブ群で優った(0.59)。

評価

最終解析では、PFSの差は維持されたものの、OSの有意差は示されなかった。ただし、この結果には化学療法群の高いクロスオーバー率が影響していると考えられ、MSI-H切除不能大腸がんに対する初回治療として推奨され続けるだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)