パンデミックの心臓検査手技へのインパクトを決めたのは、国のGDPと医師の心理ストレス
Worldwide Disparities in Recovery of Cardiac Testing 1 Year Into COVID-19
背景
COVID-19パンデミックは医療資源に膨大・多様なインパクトを与えたが、心臓検査諸手技は、影響が最も顕著であったものの一つである。
Columbia UniversityのEinsteinら(INCAPS COVID 2)は、国際原子力機関(IAEA)によるパンデミック発生時と、1年後の心血管検査手技(放射線画像診断等)に関する世界的アンケート調査データ(107ヵ国669施設)に基づき、パンデミックが世界の心臓検査諸手技に与えた影響を検討した。
結論
パンデミック発生期(2019年3月〜2020年4月)に、世界の心臓検査手技件数は64%減少した。この減少は高中所得国・高所得国では2021年4月までに回復したが、低中所得国・低所得国では引き続き落ち込んだ(回復率46%・30%)。2021年のストレステスト実施頻度は2019年より12%少なかったが、CCTAは14%多く実施され、この傾向は他の高度心画像モダリティ(PET・MRI)でもみられた(22〜25%増)。
スタッフの40%近くがパンデミック関連心理的ストレスを経験しており、これは78%の施設で患者ケアに影響を与えていた。心臓検査実施件数回復の予測因子は、国家GDPと医師の心理的ストレスであった。
評価
個別国家・地域レベルでのパンデミックの医療インパクトの報告が多いが、世界レベルデータで心臓検査手技件数への影響が国家のGDPと医師の心理ストレスによって決まった、とする興味深い報告である。患者と直対する負荷試験が忌避され、CT・PET・MRIが選好された、という現象も初めて指摘された。