12歳以下児のHCM表現型を大規模調査
Clinical Features and Natural History of Preadolescent Nonsyndromic Hypertrophic Cardiomyopathy
背景
小児肥大型心筋症(HCM)の半数は12歳以前に発症するが、この患者群の特性データは少ない。
英国University College LondonのKaskiらは、International Paediatric Hypertrophic Cardiomyopathy Consortiumに登録された12歳以下の患者639名のデータを、12~16歳の間に診断された568名のデータと比較した。
結論
53.6%がHCM家族歴を有し、20.9%が心不全を発症しており、39.2%が心臓病薬を処方されていた。最大左室壁厚Z-score中央値は8.7、27.2%に左室流出路閉塞がみられた。中央値5.6年の追跡期間中6.6%が死亡し、3.3%が心臓移植を受け、10.8%が致命化となりうる不整脈イベントを経験していた。12歳以後の発症患者と比し、12歳以下の患者では筋切除術実施率が高かった一方(10.5% vs 7.2%)、一次予防ICD植え込み例は少なかった(18.9% vs 30.1%)。
評価
12歳以下発症小児の死亡率が特に高いわけではなく、より年長児と同じような表現型を呈するが、イベントはより多く経験する、という結果である。何れにしても重要・重篤な患者集団で、治療法の臨床試験が進んでいる(https://www.nature.com/articles/s41591-021-01505-4)。