狭窄率70〜99%の無症候性内頸動脈起始部狭窄患者の虚血性脳卒中リスクは:最大のリアルワールド研究
Incidence of Ischemic Stroke in Patients With Asymptomatic Severe Carotid Stenosis Without Surgical Intervention
背景
無症候性頚動脈狭窄でも手術(CEA・CAS)が有益であるとしたRCTがあるが、リアルワールド状況でどれくらい脳卒中リスクがあるのか。
Kaiser Permanente Northern CaliforniaのChangらは、この問題を検討する後向研究を行った。対象は過去に当該血管手術を受けておらず、過去6ヵ月間に同側神経学的イベントがない、NASCET狭窄率70〜99%の無症候性内頚動脈狭窄患者3,737名。一次アウトカムは、狭窄動脈と同側の虚血性脳卒中の発症である。
結論
5年間の一次アウトカム発生率は4.7% であった。発症患者の27.1%が手術を受け、 その66.7%が1年以内に死亡した。虚血性脳卒中の発症予測因子は、高年齢・ハイグレード狭窄・同側虚血性脳卒中既往であった。スタチン使用は虚血性脳卒中発症リスクの低減と関連した。
評価
この問題に関する最大のコホート研究で、手術なしでの5年間虚血性脳卒中発症率4.7%という数値を提示した。過去のデータ(同等〜やや軽症の同種患者)での虚血性脳卒中発症率は多く1.2%/年以上であり、ここでの(70%以上の無症候性内頚動脈狭窄患者)0.9%/年はかなり低い。無症候性内頸動脈狭窄患者の虚血性脳卒中発症率は年々低下しており、スタチン汎用・高血圧コントロール・抗血小板療法・生活習慣改善等が寄与しているとみられる。