DNAメチル化阻害薬は癌遺伝子をアップレギュレートしうる
Demethylation and Up-Regulation of an Oncogene after Hypomethylating Therapy
背景
DNAメチル化阻害薬(HMA)は、骨髄異形成症候群(MDS)の第一選択薬であるが、がん遺伝子の再活性化のリスクが指摘されている。
Brigham and Women’s HospitalのLiuらは、MDS患者の2つのコホートから得たHMA治療前後の骨髄サンプルを用いて、HMAが癌胎児遺伝子SALL4に与える影響を検討した。
結論
HMA治療後のSALL4アップレギュレーションは、コホート1の40%、コホート2の30%に認められ、アウトカム悪化と関連した。5′非翻訳領域内のCpGアイランドの脱メチル化がSALL4の発現に重要であることが、CRISPR-DiRを用いて明らかにされた。また、患者へのメチル化阻害薬の投与は、同じCpG領域の脱メチル化、SALL4の発現のアップレギュレーションを引き起こすことが確認された。
評価
近年がん治療に登場したHMAだが、治療によりSALL4癌遺伝子が活性化され、アウトカムも悪化しうることが明らかにされた。SALL4発現のモニタリングやSALL4標的治療が次の方向性となろう。