ICU入室中の下痢は一般的だが、死亡率とは関連せず
Diarrhea during critical illness: a multicenter cohort study
背景
ICUに滞在中の患者では、便秘や下痢といった通便異常がしばしば認められる。
カナダMcMaster UniversityのDionneらは、多国籍12施設のICUにおいて10週にわたる前向コホート調査を行い、24時間以上滞在した成人患者における下痢の発生率、Clostridioides difficile関連の下痢、ICU滞在・入院期間、院内死亡率を検討した(n=1,109)。
結論
88.5%が内科的入室で、58.2%が人工呼吸を受けていた。下痢の発生率はWHO定義を用いると73.8%であり、Bristolスケールの定義では53.5%、Blissの定義では37.7%であった。99名の患者がClostridioides difficile関連下痢の検査を受け、23名が陽性であった。経腸栄養(RR 1.23)、抗菌薬日数(1.02)、座薬(1.14)が独立予測因子であった。オピオイドはリスクを減少させた(0.76)。下痢によって栄養経路・投薬の変更、便失禁管理デバイスの使用やClostridioides difficile検査の実施など、管理の変更がもたらされた。下痢はICU滞在期間・入院期間の増加と関連したが、院内死亡とは関連しなかった。
評価
多くの患者で下痢が発生し、管理の変更、滞在期間の延長をもたらしたが、死亡率の増加にはつながらなかった。