BNP正常値HFpEF患者の心イベントリスクはどの程度か:Mayo研究
Heart failure with preserved ejection fraction in patients with normal natriuretic peptide levels is associated with increased morbidity and mortality
背景
HFrEFは多くBNP上昇を伴うが、HFpEFでは30%がBNP正常とみられている。
Mayo ClinicのBorlaugらは、2006〜2018年にMayo Clinicで原因不明の呼吸困難のために侵襲的心肺運動負荷試験を受けた患者を対象として、HFpEFでBNP正常値(NT-proBNP<125ng/L)の患者(n=157)を、BNP高値(NT-proBNP≧125ng/L)のHFpEF患者(n=263)および血行動態正常な呼吸困難コントロール患者(n=161)と比較した。HFpEFの定義は、PAWP≧15mmHg(安静時)または≧25mmHg(運動時)である。
結論
HFpEF・BNP正常値患者はHFpEF・BNP高値患者より若く、対照呼吸困難患者より高齢で、併存疾患プロファイルは中位的だった。また、対照患者に比べ、LVの肥大・拡張機能低下を認めた一方、BNP高値・HFpEFに比べ、LV拡張機能・LA容積は優れ、RV容積は少なく、MV/TV逆流は少なかった。さらに、負荷後心拍出量(CO)予備能は維持されていたものの、これは高いLVTMP上昇を代償としていた。他方、HFpEF・BNP高値患者では、PAWPは同等であったが、LVTMPはHFpEF患者と比して低く、CO予備能 が低下していた。HFpEF・BNP高値患者は心イベント発生率が最も高かったが、HFpEF・BNP正常値患者も、また諸因子調整後の死亡・HF再入院リスクが対照呼吸困難患者の2.7倍であった。
評価
この問題に関する初めての詳細な検討により、正常BNPのHFpEFの心血管高リスクを初めて確定した。