ナイーブT細胞を除去したPBSC移植でGVHDを予防する:第2相試験
Naive T-Cell Depletion to Prevent Chronic Graft-Versus-Host Disease
背景
移植片対宿主病(GVHD)は同種造血幹細胞移植後の患者で多く発生し、合併症・死亡の主たる原因となっており、前臨床研究では重症GVHDへの移植片中のナイーブT細胞の関与が示唆されている。Fred Hutchinson Cancer Research CenterのBleakleyらは、急性白血病患者に対し、中線量・高線量の全身照射と化学療法による前処置後に、HLA型一致ドナーからナイーブT細胞を除去した末梢血幹細胞(PBSC)を移植した3件の第2相試験において、慢性GVHD・その他のアウトカムを評価した(n=138)。
結論
3年間累積cGVHD発症率は7%で、中等症が1%、重症は0%であった。グレードIII/IVの急性GVHDは各4%、0%で発症した。3年全生存率は77%、無cGVHD・無再発生存率は68%であり、再発死亡率は23%、非再発死亡率は8%であった。
評価
T細胞をすべて除去する戦略も存在したが、T細胞の抗腫瘍効果も失われることから最善とは呼べなかった。本研究はナイーブT細胞を除去し、メモリーT細胞を残す移植片エンジニアリング手法により、GVHDの発生が非常に低く抑えられることを示した。ランダム化比較試験による検証が開始されている。