肥満の長期化が大腸がんのリスクを高める
Risk of Colorectal Cancer Associated With Lifetime Excess Weight
背景
肥満・過体重ががんのリスクとなることはよく知られているが、既存研究における体重の評価は単時点的なものが多く、累積的な過体重の影響を過小評価している可能性がある。ドイツGerman Cancer Research CenterのLiらは、2003年から同国で行われている集団ベース症例対照研究の大腸がん患者5,635名と対照者4,515名を対象に、20歳以降10年単位の身長・体重(自己申告)に基づいた累積的過体重と大腸がんリスクとの関連を評価した。
結論
正常体重範囲内の参加者と比較すると、過剰BMI(BMIの25超過分)×期間として求められる過体重・肥満生存年(WYO)の第一四分位の参加者ではオッズ比1.25、第四四分位では2.54の大腸がんリスクがあった。WYOがSD分増加すると大腸がんリスクは55%増加し、任意の地点における過剰BMIのSD増加によるリスク増分(4〜27%)よりも大きかった。
評価
人生のうちのどれぐらいを過体重・肥満で過ごしたかに着目し、長期間の肥満の影響がこれまで考えられていたよりも大きく、単時点的な肥満より高い大腸がんリスクであることを明らかにした。若い世代からの肥満予防政策の重要性を訴えるデータである。