IV期乳がんでの原発巣治療は生存率改善せず:E2108試験
Early Local Therapy for the Primary Site in De Novo Stage IV Breast Cancer: Results of a Randomized Clinical Trial (E2108)
背景
遠隔転移を有する未治療乳がん患者に対して原発巣の局所治療が検討されてきたが、ランダム化比較試験の結果は矛盾している。Northwestern UniversityのKhanらは、原発巣治療歴のない遠隔転移を有する乳がん女性に対し4〜8ヵ月の薬物治療を行い、進行がみられない場合に、原発巣に対する局所治療(手術と放射線治療)または薬物治療の継続へと割り付けるランダム化比較試験、E2108試験を実施した(n=256)。
結論
3年全生存率は薬物療法群で67.9%、早期局所治療群で68.4%であった(ハザード比1.11)。全生存期間の中央値はそれぞれ53.1ヵ月、54.9ヵ月であった。3年間の局所領域進行は、局所治療群で少なかった(39.8% vs. 16.3%)。
評価
局所治療によって局所領域進行は抑えられたものの、QOLに差はなく、全生存期間も同等であった。原発巣治療が有効な患者集団の絞り込みが必要かもしれない。本試験と同様のデザインで日本のJCOG1017試験が継続している(UMIN000005586)。