重症脳卒中患者での早期気管切開は転帰改善せず:SETPOINT2試験
Effect of Early vs Standard Approach to Tracheostomy on Functional Outcome at 6 Months Among Patients With Severe Stroke Receiving Mechanical Ventilation: The SETPOINT2 Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
May 2022
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背景

重度の急性脳障害患者では気管切開のリスクが高いが、早期の気管切開にメリットはあるか。
ドイツHeidelberg University HospitalのBoselらは、アメリカ・ドイツの26施設で人工呼吸を受ける重度の急性虚血性・出血性脳卒中患者を、挿管5日以内の早期気管切開または10日目以降の気管切開に割り付けるランダム化比較試験SETPOINT2を実施した(n=382)。

結論

早期気管切開群の95.2%で挿管後の中央値4日、対照群の67%で11日で気管切開が実施された。6ヵ月時点での非重度障害(修正ランキンスケールが0から4)率は、早期気管切開群43.5%、対照群47.1%であった(調整オッズ比0.93)。重篤な有害事象は早期気管切開群の5.0%、対照群の3.4%で報告された。

評価

重症患者での早期の気管切開は、人工呼吸器日数やICU滞在日数を減らすことが示されているが(http://doi.org/10.1001/jamaoto.2021.0025)、重度脳卒中患者を対象とし、mRSというハードアウトカムを用いたこの研究では、ベネフィットは認められなかった。この患者集団で、気管切開を急ぐ必要はないと考えられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)