パリ救急のコロナ患者でデルタ株とオミクロン株を比較
Comparison of Patients Infected With Delta Versus Omicron COVID-19 Variants Presenting to Paris Emergency Departments: A Retrospective Cohort Study
背景
新型コロナウイルスSARS-CoV-2の流行は、2021年末からオミクロン変異株へと急速に置き換わり、以前の変異株と大きく異なるその特性が注目を集めた。フランスAssistance Publique - Hopitaux de ParisのBouzidらは、2021年11月29日から2022年1月10日にパリの13の大学病院救急部門を受診したSARS-CoV-2陽性患者のうち、変異株が同定された患者を対象とした後向カルテレビュー研究を行い、オミクロン株の特性と院内アウトカムを比較検討した（n=1,716）。
結論
オミクロン株感染者は、デルタ株よりも若く（中央値54歳 vs. 62歳）、肥満率は低く（8.0% vs. 12.5%）、ワクチン摂取率が高く（1回目接種率65% vs. 39%）、呼吸困難症状が少なく（26% vs. 50%）、救急からの帰宅退院率は高かった（59% vs. 37%）。また、オミクロン株は、ICU入室（調整パーセンテージ差11.4%）、人工呼吸器（3.6%）、院内死亡（4.2%）のリスクが低かった。
評価
既報の通り、オミクロン株では若年患者が多く、ブレイクスルー感染率が高いものの、症状は比較的軽く、アウトカムも良好であった。日本におけるオミクロン株主体の第6波では、感染爆発に伴い、それ以前を上回る死者数を数えている。
