THV機能不全への後期バルーン弁形成術:ケースシリーズ分析
Late Balloon Valvuloplasty for Transcatheter Heart Valve Dysfunction
背景
TAVR後の経カテーテル人工弁(THV)機能不全への後期バルーン弁形成術(late balloon dilatation:LBD)の安全性・有効性は。
カナダSt Paul’s and Vancouver General HospitalsのWebbらは、2016〜2021年における2施設30例の解析結果を報告している。THVフレームの拡張は、LBD前後にマルチスライスCTで評価した。
結論
LBD施行は、THV植え込み後中央値4.6ヵ月で、大動脈(83.3%)・ 僧帽弁(6.7%)・ 三尖弁(6.7%)・肺動脈弁(3.3%)で行われていた。フレーム拡張のLBD後大幅改善、平均経弁勾配の減少効果を確認した。特に大動脈THVでは、平均経弁勾配は25.4mmHgから10.8mmHgに低下した。中等度以上のPVLがあった11例すべてで、PVLは軽度以下に低減した。塞栓イベント・脳卒中・弁輪損傷・人工弁尖損傷はなかった。症状改善効果は、中央値19.6ヵ月のフォローアップ期間中持続している。
評価
LBD手法に関する初めてのまとまったケースシリーズ報告で、その安全性・有効性を支持した。JACCEditorialは、高度イメージングによる病態把握が必須である、と強調している。